
自分勝手に好きにしゃべってください。
これ、今までに何度か言われたことがあるんですが、本当に困ります。
人前で話をするときって、それをやるべき理由があってやるんですね。
私の場合も誰かに頼まれることがほとんど。
YEGの事業に必要だから前に出て話をするわけです。
余談ですが
このサイトではYEGが例に使われることがたくさんあります。これは、ただ私が所属しているので使いやすいというだけの理由です。観光協会、法人会、ロータリークラブ、ライオンズクラブ、商工会議所、商工会、青年会議所(JC)など、皆さんにとって身近なものに置き換えて読んでください。出来れば、その風景を思い浮かべながら読み進めていただけると、理解しやすいと思います。
話を戻しましょう。
ニュースや書面だけでは伝わらない「なにか」を「伝える」
① 結婚式のあいさつの場合

結婚式のあいさつを私にやらせてください!
あんまり聞いたことないですね。なかにはいるかもしれませんが、稀なケースじゃないでしょうか。
頼まれたことを引き受けて、そしてステージにあがる。
では、何のためにその場に立つのか?
他の皆さんも、「何のために」を考えずにステージに立つことは無いと思います。
依頼した人がいる以上、なにかを伝えてほしいと思っているはずなのです。
② 会長(代表)あいさつの場合
例えば、YEGの定例会での会長挨拶。
あなただったら、何のために壇上に上がりますか?
世間話や情勢を話すだけでしたら、壇上である必要はないですよね。
社会情勢の解説なら、ニュースサイトの記事のほうがよっぽど詳しく書かれていますし記者なりの解釈までついています。
そのサイトなり、新聞記事なりを提示しておいて
「しっかり読んでください」
のひと言で終わりです。
③ 委員会の事業報告の場合
委員会の事業報告についても同様です。
内容を報告するのならば、未来のものは企画書、過去のものは報告書。
これで足りてしまうのです。
書面の通知だけでは伝わらない「なにか」を「伝える」。
それがはっきりしない状態でプレゼンテーションを始めても情報を受け取った私達は、なんの感情も沸き起こらない。
伝わらない悪い例(会長あいさつ、事業報告)
先の話をもう少し掘り下げていきます。
① 伝わらない『会長(代表)あいさつ例』
よくある会長(代表)あいさつですが
世間の情勢を紹介して、それに伴う事象から、次はこうなるだろうという予測をして、しっかり対応していきましょうと締めくくるというパターンがあります。
そんなのある?と思う方もいるかもしれませんので、次に例文を上げてみます。
…海外に目を向けてみれば、近隣の国との強調の問題もあり、国としての対応が重要という声も上がっています。
…
それだけではなく、私達のような現場で接する企業として何が出来るか、という問いを投げかけられている状態でもあります。
…
これから先は、我々にとってもますます厳しい状況が予測されますが、当会としても国の動向に注意を払いながら、県や市と情報を共有して、皆様の企業の発展の一助となれるよう対策を進めてまいりたいと思います。また……。
….
かなりぼかした表現ですけど、どこかで聞いたことがありそうな挨拶ではありませんか?
まぁ、新聞記事で十分な内容ですね。
自分で書いておいてすみません。何を言いたいのかさっぱりわからない。
② 伝わらない『事業報告の例』

次に、事業報告
…○月○日に、△△△△で他団体との交流イベントが開催されました。
当日は80名ほどの参加をいただき、イベント自体も盛況でした。ご参加頂いた皆様、また準備や当日のお手伝いなどでご協力いただいた皆様、ありがとうございました。
続きまして、来月の○日にはミーティングを予定……
多分、同じ内容が報告書に記載されていますよね。数字はもっと細かく書いてあるかもしれません。
さて、この2つのスピーチの共通点は、どこにあると思います?
伝わらないスピーチ例の共通点は『事実を伝えている』だけ。
このページの前半に書いたように、「なにか」を「伝える」に当てはめるなら?
これはただ「事実」を「伝えている」ということですね。
事実を正確に伝えることは大切なことですし、それが求められる場面もあります。
事業報告なども、正確に事実を報告することが与えられた任務だとも言えます。
ただ、事実から導かれるものは何でしょうか。それが依頼されたことの本質でしょうか。
ちなみに、事実だけを断片的に伝えることで聞き手にストーリーを組み立ててもらう方法もあります。
ゲームのRPGに頻繁に使われている方法を応用したスピーチのテクニックですが、なかなか高度な技術だと思います。
私の場合、この手法は滅多に使いません。主に、長時間のスピーチを飽きさせないためや、研修などで理解を深めたいときにスピーチに埋め込みますが、とても面倒です。
滅多に使わないので精度も低いし、そんなに長く喋る機会もすくないので、今回はパスです。
事実(前提)+αの「なにか」を聞き手は求めている

事実以外の「なにか」を盛り込まなければスピーチが成立しないのはなぜでしょうか。
会長や委員長が前に出て、たくさんの人の時間を割いてもらって話をするのであれば、書面では伝えきれない「何か」がなければなりません。
事業報告なら事実の報告で良いじゃないかという声が聞こえてきそうですが、もう少し我慢してお付き合いください。
なぜいけないのか。
それは聞き手がプラスアルファの「なにか」を求めてしまっているからにほかなりません。
本人が意識していなくても、求めてしまっている。
これが問題なんだと思います。

『わざわざ前に出てスピーチをするのだから、何かあるに違いない』
これが、深層心理にある期待です。
期待は予測に置き換えても良いでしょうか。
期待を下回るとがっかりすることに繋がりますし、期待値を上回れば良いスピーチだなということに繋がります。
この部分がわかっていないと「うまく話せない」ことになるんだと思っています。
お客様目線というやつですね。
では、そのプラスアルファの「なにか」とは何か。
・・・プラスアルファ?
本当にプラスアルファ?
今、書いてしまったのですが、プラスアルファじゃないです。
スピーチにおいては、伝えたい「何か」が主役のハズです。事実はそのための前提を伝える役割でしかありません。
となると、先程の例は主役が不在。それではドラマは成立しませんね。背景だけですから。
主役=あなたが伝えたいこと
まずは、それを確実に捉えましょう。
なんだそんなことか、と思いました?
思いましたよね。
そんなことなんですけど、実は出来ていない人も多いんですよ。
結婚式スピーチでは主役の人柄を伝えた
結婚式のスピーチだって、同じ様に考えることが出来ます。
要はどう捉えるか、ってことですけど。
以前、友人代表あいさつを頼まれた時。(これも依頼されてますね)
「新郎の人柄が伝わること」
を勝手にミッションにしました。
つまり、私が伝えたいこと=事実以外の「何か」です。
本人に尋ねたところで、答えが返ってきそうになかったので、勝手にね。
そうすると、学生時代の思い出話も、みんなに愛されてますってエピソードも
全てはひとつの「私が伝えたいこと」に帰着するわけです。
「新郎ってこんなヤツなんだよ。こんな一面があって素敵でしょ」
これさえ伝われば、あとはどうでも良い。
そのくらいの心境です
スピーチ上手な人は「伝えたいこと」がはっきりしている

あなたの周りにも一人や二人くらいは、スピーチの上手な人がいるでしょう。
ついつい引き込まれてしまって、聞いているこちらが楽しくなってしまうような人。
どうですか?
流れるようなストーリーで、うまいこと言うなぁなんて感心してしまいます。
私の周りにも、見事なスピーチをする先輩がたくさんいます。
見事すぎて、真似する気も起きない。というか真似出来ないです。
だって、その人のキャラクターがあってのことだから。
でも、スピーチが苦手な人は少しでも真似しようとするし、比較してしまいます。
で、「うまいこと言う」を真似してしまう。
そこじゃないんですよね、真似するところは。
良いんです。あなたはあなたのキャラクターで。
明るくしゃべるのも、どっしり語るのも、その人の個性があって初めて成立するもの。
そういうのは、もっともっと慣れてからで良いと思います。
まずは、「何のためにスピーチをするのか」を、突き詰めて整理するところから始めましょう。
スピーチの上手な方々は、必ずこれを持っています。
『 伝えたいこと 』
その一点に集中して、あらゆるトークを駆使しているはずです。
もし少しでもスピーチを上手になりたいと思っているのなら、身近にいる上手な人のスピーチをしっかり聞いてください。「この人の伝えたいことってなんだろう、何のためにこのエピソードを話しているんだろう?」
そんな推理をしながら聞くことが大切です。
それがわかれば、真似るべきポイントが言葉の言い回しではないことがわかってくるでしょう。
「伝えたいこと」
「伝えたいことを表現するための話」
スピーチはこの2つだけで出来ているといっても過言ではありません。
もしかしたら、これを見ている方もわかっていて
「伝えたいものははっきりしている、でもうまく表現できないんだよ」
と悩んでいるかもしれません。
そうだとしても、おさらいの意味でおつきあいください。
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